福井県を代表する観光スポット・永平寺の門前に、予約必至のアップルパイを求めて行列ができるお店があります。
その名は「アトリエ菓修(かしゅう)」。
“伝説のパティシエ”が手がけるこのアップルパイは、今や永平寺町の名物として大人気!
2025年の販売は、9月13日(土)からスタートしますよ!
⇒販売開始日がInstagramにて発表されました!
※現在、電話予約は受け付けておりません。
※日によって購入できる個数制限を設ける場合があります。
この色とツヤ、見てください!

はい、息を吸って~、吐いて~!
フレッシュバターのリッチな香ばしさとリンゴの甘酸っぱい香りを胸いっぱいに吸い込みましょう!
車に持ち込むとこの芳醇な香りが空間に広がり、運転中ずっと幸せな気持ちでいられます。
例年、秋から春ごろまでの期間限定で販売される「アトリエ菓修」のアップルパイ。
福井市からお店までは車で約30分かかるのに、開店前から行列ができるほどの人気っぷり。
その秘密を探るべく、シェフの奥河原修造さんにお話をうかがいました。

この方が伝説のシェフ、奥河原修造さんです。
今から45年前に福井駅前の放送会館近くに「ピュイ・ダムール」という店をオープンさせました。
現在40代以上の方なら、あのエレガントな店内やティーセット、美味しい紅茶と夢のようなケーキを覚えているのではないでしょうか。
もはや福井の伝説のお店ですね。
ずっと福井県のパティシエの第一人者として業界を牽引されていましたが、定年で引退を決意。
実家のある永平寺に引っ越しましたが、お客さんの熱意に応えて、奥さんの経営する蕎麦店「一休」の隣で販売を続けることにしたそうです。
その開店当時このアップルパイのレシピはすでに完成し、その後手を加えていないのだそうです。
ポイントはリンゴ。
長野の契約農家さんが手塩にかけて育てた「紅玉」がこの二つとないパイの味を決めているんですって。

小ぶりなリンゴはすべて手で皮をむいてカット。
皮ごと炊きますが、皮自体は入らない工夫がされています。

煮詰めても形が崩れず、甘さと酸味が程良いのがこのリンゴの特長のようです。
確かに菓修さんのアップルパイはやわらかな歯ごたえも楽しめます。
それはリンゴの形が残っているからなんですね。
ちなみに真ん中の黒い棒はバニラビーンズです。惜しげもなく投入されていました。

水分やレモンなどの酸味を加えることなく、リンゴから出る水分だけで煮詰めて作るのだそうです。
加えるのは砂糖とバニラビーンズ、ブランデーのみ。
それをフレッシュバターから作られるパイ生地で包みます。
含まれる塩分は気候を見て加減しているのだそうです。
20代で単身フランスに渡り、ベルンやパリのホテルで修業を積んだシェフ。
帰国後働くことになった神戸のホテルで出会った人が、このアップルパイのレシピに大きな影響を与えているのだとか。
その人とはなんと、フランスパンの美味しさを日本に広めた偉人 フィリップ・ビゴさん!
フランスから日本に来て「ドンク」に勤務し、フランスパンのブームを起こしたビゴさん。
今の日本のフランスパンの味は、彼がいなければなかったかもしれません。
フランスでは国家功労賞シュヴァリエ章ほか数々の章を受賞、日本では「現代の名工」として表彰されるなど、パン職人・菓子職人のスーパー偉人です!
シェフはその彼にパイの配合や折り方などの手ほどきを受けたんだそうです。

「残念ながらビゴさんは亡くなってしまったけれど、このアップルパイは彼の想いも伝えているんですよ」。
あの方の手業も入っているかと思うとさらに美味しさに深みが出ますね!
では、さっそく食べてみましょう!

手のひらに乗るくらいの程よい大きさです。

このリーフのようなヒダヒダ。
実は効率よくパイが膨らみ、熱が入るようシェフが1つ1つ切り込みを入れているんです。
オリジナルの形なんですよ。

焼き立ては染み出したリンゴエキスが焼けて、カリカリのキャラメルのようになっています。

中はこんな感じです。リンゴの形が残っています。
パイの皮は薄めです。厚いと熱がこもって湿気やすくなり、サクサクした食感がなくなってしまうんですって。
ハイ、まず一口、サクリと噛みます。
さっそく、厚みを感じさせないパイの生地のリッチなバターの香りが鼻に抜けます。
続いてリンゴの甘酸っぱさが舌に乗り、ジューシーなエキスが溶けるように広がります。
バニラやブランデーの香りにも気がつきます。
口を動かすと、酸味、甘みをパイ生地から生まれるコクが、包み込んでいきます。
味わいを追いかけてくるリンゴの香りの長い余韻。
甘さには奥行きがあり、みずみずしさからまろやかさに変化していきます。
もう一つ手を伸ばしたいような余韻を味わいたいような…。
この案配がシェフならではですね!
さらに言うなら口あたりが軽いんです。
サクサクぺろりと食べきってしまいます。

「できるだけ温かいうちに食べてほしい」とシェフですが、冷めてしまっても大丈夫!
表面が焦げないようにふわりとアルミホイルを乗せ、トースターで2~3分焼くと良いそうです。
シーズンが始まると1日150個~200個売れると言います。
シェフが魂削っているといっても過言ではないので、お身体は大事にしていただきたい。
春頃までの期間限定ですので、永平寺を観光される際はぜひ味わってみてください!
※日によって購入できる個数制限を設ける場合があります。